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まだ、「飲みニケーション」とか言っているの?

なぜ、職場改革をしても、社員は辞めていくのか?(前編)

④社員運動会は、続けなければ意味なし!

 職場で失われた一体感を取り戻すため、最近になって再び、社内運動会を復活させる動きがあります。

 ニュース番組で、ある大手流通企業の社員運動会が取り上げられた際、コメントを求められたことがあります。この会社は、企業文化の異なる2社が合併して誕生した経緯があり、仕事に対する考え方や価値観、立場の異なる従業員の気持ちを一つにする目的で社員運動会を実施しているそうです。番組では「盛り上がってます!」「楽しいです!」と好意的に受け取る従業員のコメントが紹介されていました。

 しかし、社員運動会の成否は、一度実施して判断できるものではなく、長い目で見ていく必要があると思います。大事なことは、従業員が相互理解を深めて、力を合わせて一つになるという組織風土を、社員運動会を通してつくりあげていくことです。会社のDNAを継承するために継続してこそ、意味があるのです。

 社員運動会の復活は話題性があり、ニュースにはなりますが、「今、はやりだから」「他社がやっているから」という思いつきで1~2年実施して、収益が厳しい年はやらないというような事態になるならば、従業員の混乱を招くだけです。それなら、はじめからやらないほうがいいでしょう。職場の絆を深めるという目的のもと、経営が順調なときも、そうでないときも、運動会を継続する覚悟が経営側には必要です。

 その覚悟を持ち、社員運動会を続けている経営者がいます。その方が素晴らしいと思うのは、「職場が元気で会社に勢いがあるときこそ運動会を開くのだ」という強い意志を持って臨んでいることです。業績が厳しいときは「収益を圧迫するので止めるべきだ」という意見が出るそうですが、一方で業績が好調な時期でも社内は忙しいので、現場からは「今は仕事を優先させたほうがよいのではないか」という声が上がると言います。それでも、「いや、だからこそやるのだ」と従業員を鼓舞しているそうです。

 つまり、目先の業績云々よりも、従業員同士が絆を紡ぐことのほうが大切だという強い経営の意志です。こうした経営者の覚悟がメッセージとなって従業員に伝わったとき、目指す組織風土の醸成につながっていくのだと思います。

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前川 孝雄

まえかわ たかお

(株)FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師

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「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベスト新書)

大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒。リクルートを経て、2008年に「人を大切に育て活かす社会づくりへの貢献」を志に起業。「上司力研修」「育成風土を創る社内報」「人を活かす経営者ゼミ」などを手掛け、約300社で人が育つ現場づくりを支援。自らも年間100本超の講演、TV番組、雑誌に出演。YAHOO! 「前川孝雄の人が育つ会社研究室」など連載も数多く持つ。


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